ソーシャルマーケティング
―行動変容で社会的価値を共創する―
本書を読んで
本書に寄せられたご感想をご紹介します。
皆さまのご感想
瓜生原先生がソーシャルマーケティングを通じて実現したいことは副題に尽きているが、言葉を換えて言えば、人々に行動を促し、その行動の連鎖によってソーシャルグッドを実現していこうというわけだ。 そのためには仕組みづくりが必要。社会実装のためには領域横断的な広い視座が要求される。本書はその指南をしてくれる。 2017年に行動経済学者のリチャード・セイラーがノーベル経済学賞を受賞したが、人々の非合理的な意志決定傾向に着目し行動を強制せず環境設計で望ましい行動に誘導する彼の「ナッジ理論」はソーシャルマーケティングの理論的基盤の一つと言える。 本書はナッジ理論だけではなく、計画的行動理論などの行動変容理論を駆使し、行動変容を促す施策を設計するための基本的枠組みを、いろいろなモデルや実例を提示しながら懇切丁寧に解説している。 ソーシャルマーケティングを正しく理解し、正しく用い、社会課題をどやって解決していけばいいかを順を追って解説するこの啓蒙書は、ビジネスの世界でも政治の世界でも、大いに活用していける強力な戦術書になるに違いない。 北 康利 先生(作家)
臓器提供をはじめ、人のため、社会のために役立ちたいという思いはだれもがもっているはずだ。そうでないとこの世に生を受けた意味がない。ただ、いざ実践するとなるとハードルがたくさんあって、ついつい志を閉ざしてしまいがちだ。結局は聖人君子 か自己犠牲の精神に富んだ一部の人でないとハードルを越えられないという諦念を抱く。 著者は臓器移植に関わる仕事に携わって以来、実務界・学界をとおし、一貫して「困難な状況に置かれた人々を支えうる社会の構築に貢献したい」という志を抱き続けてきた。そして壮大な研究成果を築き上げた。まさに「ウォームハート、クールヘッド」の結晶といえよう。 人々のため、社会のために役立ちたいという素朴な思いを行動に移すためのプロセスが、本書のなかにはとても豊富に述べられている。自分の人生、存在価値に関わる問題なので、腰を据え、根本から学ぶべきではなかろうか。 太田 肇 先生(組織学者、同志社大学名誉教授)
この本を手に取った方に、まずやっていただきたいことがある。 それは、マイナンバーカード(もしくは免許証)を出して、"臓器提供意思"を記入してみることだ。 これにより「ソーシャルグッド」とは何か、その実現に、どんなことが心理的および物理的ハードルになるのかが、自分事として感じとれるはずである。 マイナンバーカードの"臓器提供意思"の記入欄を見てまず思うのは「文字が小っさ!!」ではなかろうか。さらには、「どこに◯をつけるの?」とか、「"特記事項"の欄って何書くんだよ?そもそも10文字ぐらいしかスペースないし・・」と、実際にやってみなければ感じ取れない、自分の中の様々な心の動きに気付けるのではなかろうか? そのうえで、本書を読むことをおすすめする。 私は、コピーライターなので、マーケティングもかじっているが、恥ずかしながら、本書を読むまで ソーシャルマーケティングをSNSマーケティングと勘違いしていた。 倫理的には正しいのに、「よいと分かっていても行動できない・・」を動かす、社会変革のためのマーケティングアプローチ。 それがソーシャルマーケティング。 それゆえに、普通のマーケティングより難易度が高い!! マーケッターの端くれとして、著者の活動を尊敬いたします。 さて、本書は、そんな、"高難易度"な社会的課題に対して、プロジェクトマネージメントのシステム的なアプローチと、公的、商業的な各分野で実績やプロセスが確立されているマーケティング・フレームワークが融合した、解決策を具体的な事例と共に提示してくれている。 わたしは、本書を読んで、こう確信している。 倫理的には正しいのに、「よいと分かっていても行動できない・・」 そんな層を動かせるなら、社会は変わる。 ソーシャルマーケティングというフィールドは、商業的なマーケティングに取り組んでいる方の次なるステップとして、その知見と実力を試すチャンスかもしれない。 少なくとも、私は、そう感じた。 本書は、そんな挑戦者の良き指南書となってくれるはずである。 田京 剛 さん
「よりよい社会を望む人のバイブルになる本」 大学生の頃ソーシャルマーケティングに出会い、今回学び直しの第一歩としてこの本を読みました。 改めて、ソーシャルマーケティングって素敵だなと思ったところは、その信頼感です。 「社会的価値の創造」、「実効性のある行動変容」、「対話」、「連鎖的としてのソーシャルグッド」、そして「倫理的配慮」…。 この本に出てくるワードを振り返るだけでも、ソーシャルマーケティングがとても温かくかつ着実によりよい社会を目指すものであると感じ、心が動きます。 地球環境を守りたい、子どもたちの未来を明るくしたい、誰もが必要な医療を受けられる未来を守りたい…世の中には取り組むべきテーマがたくさんあります。 心の内に「よりよい社会をつくりたい」と思っている人は多いはずです。 そういった信念を実現するためのとてつもなく大きなヒントが、ソーシャルマーケティングの考え方の中に詰まっていると感じます。 きっとこの本は、これからの私を支えてくれます。 何度も何度も読み返したい一冊です。 著者の瓜生原葉子先生とこれまで知を紡いできたすべての先人・先輩方に感謝と尊敬 の気持ちを込めて、この本とソーシャルマーケティングを活用していきたいと思います。 大仁晴花さん(瓜生原ゼミ8期生)
「行動変容」をここまで誠実に扱った本は初めてでした。 社会課題に関心のある人、行動変容に携わる人にとって、これほど「深く腑に落ちる」一冊は久しぶりでした。 「ソーシャルマーケティング」という言葉は知っていても、啓発やキャンペーンの延長として曖昧に理解していた部分が、この本を通じて一気に整理されました。本書は、ソーシャルマーケティングを単なる手法論ではなく、「人々が納得して行動を選び、その積み重ねによって社会的価値を共創していくための学術体系」として、理論と実践の両面から丁寧に描き出しています。 特に印象的だったのは、「行動を操作する」のではなく、「人の尊厳と自発性を前提に行動変容を支える」という一貫した姿勢です。近年よく目にする行動科学ブームの中で見落とされがちな倫理的視点や、ソーシャルグッドという規範が、理論的にも実務的にも明確に位置づけられており、読んでいて非常に安心感がありました。 構成も秀逸です。定義や歴史的背景から始まり、国際的な議論、23の行動科学理論の整理、そして日本の社会文脈に即した実証事例までが、無理なく一つの流れとしてつながっています。特に後半の事例章は、単なる成功談ではなく、分析的な距離を保ちながら理論との対応関係が示されており、「なぜうまくいったのか」「他にどう応用できるのか」が自然に理解できます。 自治体職員、企業の実務家、NPO関係者など、「人の行動を通じて社会をより良くしたい」と考えるすべての人にとって、長く手元に置いて参照したくなる一冊だと思います。日本語で、ここまで体系的かつ誠実にソーシャルマーケティングを扱った本は、これまでなかったのではないでしょうか。 知識を得るにとどまらず、「自分にもできることがある」と思わせてくれる点に、本書の大きな価値があります。自分自身の立ち位置や社会との関わり方を問い直し、読み終えたあとに社会との向き合い方を少し前向きに考え直したくなる、密度の高い良書です。 研究者 さん
職場で、学校で、地域で、そして社会で――。良い変化を起こそうとするときに必要なすべての情報がカバーされ、実践力を養うことができる1冊です。 健康に良いこと、環境に良いこと、何か社会にとって良いこと(ソーシャルグッド)につながる行動は、我慢や面倒さが付き物で、なかなか取り組んだり、続けたりしにくいもの。 けれど頭でわかっているだけで行動に移さなければ変化は起こせません。 人々と、どんな価値を大切にするのか、どんな社会が望ましいのかを考え、商用のマーケティングの手法を活用して「何かを買いたくなるようにして、ソーシャルグッドにつながる行動を取りたくなること」を目指す。 本書をひもとけば、良い社会への思いを形にする一歩を踏み出せるはずです。 新聞社勤務 さん
はじめに、読みやすさに驚きました! 専門書でありながら、丁寧な項目分けと、理論だけでなく実践に基づく内容になっており、机上の空論感は一切なく、確かなリアリティーを感じます。 長年の研究成果を、自分の産みの苦しみなど度外視して惜しみなく提供される、「ソーシャルグッド」が散りばめられた本だと思います。 たくさんの人に読んでほしいと強く思いました。 みんなの役に立つ、愛のこもった濃厚な一冊を、世に送り出してくださり、ありがとうございました! 加藤みゆき さん